留学生がやってきた

僕の所属する研究室にポーランドから留学生がやってきました。
飲み会の席でいろいろ話しているうち、彼は日本のアニメのファンであるということを言ってきました。
ここぞとばかりに僕は「おれはアニメにはとても詳しいぞ。どんなのが好きなのだ?」と尋ねました。
彼は「クラシックなところではエヴァンゲリオンカウボーイビバップ、マンガでも好きなのがフルメタアルケミスト、最近ではエルゴプラクシーかな、他にも色々あるけどね。」というようなことを楽しそうにつぶやきました。


クラシックという言葉には「有名」とか「みんなが知っている」といった意味もありますが、当然「古典的な」というニュアンスも含まれます。僕はエヴァンゲリオンカウボーイビバップを古典と表現する彼に衝撃を受けました。未だにエヴァかよ、と日本のおたくはよく言いますが海外でも同じように思っている人がいるとは。
フルメタアルケミストというのは一瞬分からなかったのですが、すぐに鋼の錬金術師のことだと思い当たりました。これも日本ではとても人気のある作品で映画化されたほどです。女の子も大好き。近年のアニメの流れの中でも重要な位置を占める作品ということもできるでしょう。
最後に出た「エルゴプラクシー」という作品は僕は知りませんでした。海外で放送される場合、タイトルが邦題と違う場合は良くある話なので特に気にもしませんでした。


飲み会を終えて研究室に戻り、その留学生に英語の綴りを教えてもらい調べてみると、そのままの「Ergo Proxy」というタイトルでWOWOWで放送していたことを知りました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Ergo_Proxy
http://www.ergoproxy.com/index.html
彼は「絵もとても綺麗だし、音楽も素晴らしい、話は少し難しいけどそれだけ考える余地があって素晴らしいよ。興味があるなら是非見てみてくれよ」というようなことを満足げに言いました。
製作スタッフを見てみると、確かにしっかりとした人たちがやっているし、マングローブがやっているということで良作の匂いがします。しかし、放送局が有料のWOWOWということもあり、日本ではそこまでは盛り上がっていない作品だったはずです。僕も見ていませんでした。


僕は衝撃を受けました。
日本のおたくが、海外から来たアニメファンに、日本のアニメを紹介され勧められる。


国内のおたくはそのころ「涼宮ハルヒの憂鬱」という巨星が現れていたのでそれに夢中になっていたという状況はあります。しかし、海外のアニメファンが面白いという作品を日本国内ではなぜ全く評価できていなかったのか。日本のアニメなのにも関わらず、むしろ海外のファンのほうがその作品の価値を冷静に判断し「my favorite」と表現しているこの事実。
日本のアニメは世界一だと思っています。そして、日本のおたくも世界一だと思っていました。
しかし、流行に流されず、自分の好きな作品をちゃんと見つけて、その良さを理解し、他人に勧められる人間が海外にもいたとは。そして、そういう人間が僕の隣に座っているこの現実。少し前なら「類は類を呼ぶ」というようなネタにしていたかもしれません。しかし、そうではないんだと我々は少しずつ気付いています。「nice boat.」事件もありました。これはもはやアニメ作品はごく少数の特殊な嗜好を持った人間のものだけではなくなっているということを示しています。特に海外においてそういう傾向が顕著な可能性も。


アニメは重要な輸出産業であると言う話を新聞で読んだことはあります。それはそうなんだろうと漠然と思っていました。しかし、その言葉の意味が今回本当にわかったような気がします。


TSUTAYAでもレンタルしてみようかね。。。しかし、国内ではかなりマニアックだと思うのであるかどうかも怪しいな。