灼眼のシャナ

tama-shana

ヤシガニをやってしまった渡部高志が監督で、当たり外れの激しい(と思っていた)J.C.STAFF制作。しかもライトノベル原作ということで正直期待できないと感じていたこの作品。


しかし、予想に反してシャナ(釘宮理恵)と坂井悠二日野聡)の関係性をシリーズ通して丁寧に描き出した良作になった。


作画はハズレらしいハズレもなく、原画は毎回高レベルだったといえる。さらに背景も非常にきれいに描けていた(特に空がきれいだったな)。演出に関しても安定しており毎週安心して見ることができた。声優も豪華で演技力もしっかりした人が多く毎回話に集中することもできた。
原作ファンの人からは脚本に若干不満だったという声も聴かれたが、原作未読の自分にはきちんと要約されているように感じられた・・・というよりも、シャナvs吉田さん(川澄綾子)の構図をピックアップして他の要素を省いていたように推測された。


放映期間の限られている「アニメ」である以上、終わっていない原作をただただなぞってもラストにしわ寄せがくることは必至。そこで、「アニメ」独自の視点を持つことが非常に大事になってくる。そこでとりあげられたのが「ツンデレシャナvs王道ヒロイン吉田さん」というトピックだったのでは。これはシャナと悠二の関係性をより深く描く上でも重要なことだったように思う。吉田さんの心情がきちんと描かれていたからこそシャナと悠二の関係性がが逆説的に浮き彫りになっていたのだ。原作がどの程度「ラブコメ」路線なのかは知らないが、アニメ版の灼眼のシャナはかなりきちんとしたラブコメに仕上がっていた感がある。
このように原作をただただ漫然となぞるのではなく、キーとなる特徴的な視点を持つことによって新たな味付けのおもしろさを作品に持たせられたいい例となったのではないだろうか。


というわけで非常にバランス感覚に優れた良作だったと評価できるだろう。
スタッフのみなさん、いいものを見せていただきました。ありがとうございました。
特に渡部高志監督に対して誤った認識をもっていたようで、これからも期待したいと考えておりますハイ。