ゲド戦記

ついに見た。
まー見てない時から言いたかったのは「芸術が世襲制になったら終りだよ」ということ。


日本には能とか狂言とか「伝統芸能」と呼ばれるものがあり、それは世襲制である。
しかし、それは子供の時からその道について家全体をあげて教育しているからこそ成り立っている制度。言い換えれば家のその道のスペシャリスト達が、子供の他の可能性を奪ってまでその道について教育するからこそ成り立っている制度なのだ。


話を聴くと宮崎吾朗は建設コンサルタントなどをしていた方で、建築が専門のようだ。
そんな素人がアニメ製作の監督になるなんという珍事は今まで見たことが無い。
これは「野球をやったことが無い人が巨人の監督になる」とか「議員経験の無い人が首相になる」とかそういったレベルの話であり、アニメ製作に限ったことではない。普通に考えれば明らかにおかしい話で、もはや頭がおかしいとしか思えない。
それが堂々と今の「ジブリ」という日本を代表するアニメ製作会社ではまかり通っているわけである。
宮崎駿は本当に当たり前の話であるが、未来少年コナンなど様々な作品において作画・演出等などを手がけ、その末に「ジブリ」というスタジオを立ち上げている。いったい宮崎吾朗に何ができるというのだろうか・・・
宮崎吾朗も普通の感覚の持ち主ならば断るだろうし、「宮崎アニメ」という単語ブランドを大事にしたいばかりに宮崎吾朗を監督に祭り上げた鈴木敏夫プロデューサーをはじめとする周辺のオトナ達は本当に反省しなければならないと思う。この辺りは私の妄想でしかないので推測の域を出ないが「明らかにおかしいことが起こっている」ことは確かであり、それによって多くの映画館に脚を運んだ人たちが「つまらなかった。1800円返せ」と思っていることは確かなのである。
宮崎吾朗は初監督なんだし・・・」と擁護される優しい方もいるが、他のアニメ監督が「つまらない」作品を作ったら2回目など無い。


アニメオタクはどんなアニメにおいても、その内容や背景を汲み取って楽しく鑑賞することが出来る。
しかし、ジブリアニメというのは幸か不幸か、今までの実績によって普通の人たちがとりあえず見に行こうとする。
オタクの涼宮ハルヒ祭りのように日本国民におけるジブリアニメ祭りという側面があるわけで・・・一人の日本人として本当に残念としか言い様が無い。


鈴木敏夫プロデューサーがやるべきことは宮崎吾朗に監督を押し付けることではなく、自分が出来るが故にどうしても口を出してしまう宮崎駿から、優秀な若い人材を守ってあげることだ。これは私たち外野には絶対に出来ないあなたにしか出来ないこと。


あなたが守りきれなかった細田守の「時をかける少女」に対するたくさんの人達の賞賛の声をあなたは聞きましたか?たとえ宮崎駿に認められなくとも、宮崎駿とは違ったベクトルの素晴らしい作品を作れる若い人たちはたくさんいるのです。このままではジブリ宮崎駿がいなくなってしまったあと、原画と動画の下請け会社になってしまいますよ?あなたはそれでいいのですか?



すいません、つい熱くなってしまいました。
私は宮崎吾朗が監督をしているのが気に入らないだけで、作品としてはそこまで酷いわけではありません。
面倒くさいのでyahoo!に投稿したレビューをそのまま転載。

一言で言うと可も無く不可もなくです。


僕はアニオタなのでマニアックなレビューを。
ジブリの動画力は健在。ドラゴンを始めとした物の動き方もそうですが、ドロドロ、サラサラといった感触までも見ていて伝わってきます。世界でジブリにしか出来ない本当に素晴らしい仕事ぶりでした。
原画に関しても全編崩れることなく描かれており良。構図に関しても視聴者を飽きさせないように工夫されており、画コンテもきちんと考えて切られていたようです(今までのジブリ作品をかなり意識した作りとなっていましたが)。
背景に関しては作品の雰囲気にピッタリの雑雑としたものとなっており「空気が読めてる」背景だったと言えるでしょう。
というわけで、画的には劇場用アニメとしてかなり良いレベルです。


脚本には問題が山積していました。原作を読んでいない人にとっては冒頭の重要なシーンと、アレンの剣にまつわる謎についての説明が無いのは致命傷といえます。
さらに、起承転結というものがほとんど無く淡々と物語りは進行していきますから、集中力を切らさずに最後まで見るのは難しいかもしれません。音楽は盛り上がっているのに・・・という時も多く、そういう意味で音楽と話が乖離している場面も多々ありました。
また、キャラクターの台詞も一見大変良いもののようにも思えますが、それに説得力を持たせるだけの演出が劇中でなされず、とても空虚に感じられます。監督の描きたかったテーマは十分感じ取ることはできましたが、脚本の力不足感が否めません。
というわけで、お話としてはもっとうまくやる方法があったのではないかと思います。人の心を動かそうとしていたなら明らかに稚拙でした。


声優は全体としてまずまず。歌に関しては新居昭乃谷山浩子の真骨頂でとても良い出来です。
全体としてはですから☆3ですね。1800円はちょっと高いかも。


オタクのみなさんは脳内で
アレン:宮崎吾朗 、テルー:ル・グウィン、国王:宮崎駿ハイタカ:不在、クモ:読売新聞&日テレ ウサギ:鈴木敏夫 として見てみると1800円は高くないかもしれません。ジブリの行く末を考えると本当に涙が出てきます。穿った見方ですいません。