時をかける少女

前評判どおりの素晴らしい出来。この9ヶ月ずっと楽しみにしてきたけど、その期待を裏切らない作品だった。
僕の場合、前評判が高いと過剰に期待してしまって、実際ガッカリという場合があるのだが、今回に関してはそんな心配をする必要は無かったな。


話に関してはネタバレになってしまうので書かないが、今までの「時をかける少女」をきちんと踏襲しつつ現代にきちんと馴染ませている素晴らしいものになっていた。この作品のもっとも評価される点はこの脚本である。起承転結が素晴らしい。2時間にめいっぱい詰まっている。
主人公が「おしとやかな女の子」から「学年に一人ぐらいいそうなバカ女」になっていることも好感触。


原画・動画に関しては劇場版アニメとしては普通である。今までのジブリにはかなわない。しかし、細かいところまで動かす丁寧な作りになっていて「瞳の芝居」もきちんとなされていた。
背景はめちゃくちゃキレイ。CGと実写もセル調アニメにきちんと馴染んでいて、これは今までの細田守らしさが炸裂している。
演出はいうに及ばず。これが要なわけだが・・・もう見てもらうしかないよ。細田守は本当に意表をつくのがうまいなぁ・・・脱帽だぜ。


さらに、今回ビックリしたのが音楽と映像の尺が奇蹟のようにピッタリあっているということ。
細田守は本当に音楽を効果的に使う。この作品には笑いあり、涙ありで場面の展開がかなり早いのだが、それが音楽の切り替わりによって無理なく進行している。音楽の使い方がうまいというのは今までの細田守作品であまり感じなかったポイントだったけど。
声優も思ったより全然いい。普通に良いキャスティング。特に功介役の板倉光隆がうまい。
もし、細田守ハウルの動く城を作っていたらこの作品は生まれなかったかもしれない。
そう考えると細田守ハウルを降板して良かったよ。この「時をかける少女」という設定は細田守のためにあるのではないかと思えるほどマッチングがいいもんな。



以下はyahooの映画レビューに掲載した内容。

まず、この作品に関してはアニメオタクのみならず、一般の方も十分楽しめる作りとなっている。
特別な知識が何もなくても単純に面白い。
みなさんには、まず頭を真っ白にして何の先入観も持たずに視聴してみることを強く勧める。
Yahoo!ムービーレビューなど見てはいけない。


その際、夏のとてもよく晴れた日に劇場に脚を運ぶことが望ましい。
これはこの映画を楽しむためには大変重要なことである。
故にDVDの発売やレンタルを待つなどというバカな真似をしてはいけない。
なんとしても夏のうちに見なければならない。


また、もしあなたが何かの決断に迫られていたり、これからの人生について漠然とした不安を持っていたりすると良い。
終わった後には元気いっぱい走り出したくなるので、その落差が激しければ激しいほど、この作品を楽しめたことになるだろう。


さらに、もしあなたが高校生なら最高である。
これはあなたたちのためにある作品。私も高校生の時に出会いたかった。




まぁ、こういうことです。


好きとか嫌いとかはいい。
時かけを夏に見るんだ!


あなたの近くに上映館があることを祈るばかりです・・・こりゃ戦略の練り方を間違ってるよなホント。