涼宮ハルヒの憂鬱 #12 ライブアライブ

かつてガンダーラという「音楽で敵を倒すぜ!」的なアニメをやっていた。
毎回、バンド演奏シーンが入るのだが、ドラムの叩くタイミングは音とチグハグだし、ヴォーカルも歌っているようには全く見えず、苦笑したものだった。


「アニメで音楽演奏シーンを表現するのは、なんて難しいことなんだろう」


中学生ながら素直にそう思った。
アニメでは通常「楽器演奏シーンの動画には力を入れない」のが定石。到底動画が音楽に追いつかないし、やったとしても労力がかかる割りに意味が無い。
特にピアノ演奏のシーンなどにはそれが顕著に見られ、弾いている指先が映ることはほとんどない。かつて、ギャラクシーエンジェルでそれを逆手にとり「ヴァニラさんピアノの前にいる、揺れている、音楽流れてる、ピアノを弾いているように見えるヴァニラさん、後ろから見ると・・・うどんをこねてるヴァニラさん、カセットプレイヤーの停止ボタンを押すヴァニラさんですハイ」というようなギャグもあったほど。
逆にそれならばいっそと音楽演奏シーンではスナップ写真風にシーンを止めてみたり風景を映してみたりと、そういう方向での努力は今までもなされており成功をおさめたアニメが多かった。


しかし、今回のバンド演奏シーンはどうだっただろうか。
キャラクターが本当にドラムを叩いているように見えた。ハルヒ(平野綾)が本当に歌っているように見えた。
最初のドラムを叩くシーン、あの動画を描いた人間の能力には脱帽するしかない(あれは1コマずつ描いてたな。普通アニメは3コマ同じ画だけど)。
アニオタを長いことやってきたが、あそこまでちゃんと楽器を演奏しているアニメは見たことが無い。
一瞬、バンドのうまさに口をあける観客達が映ったが、間違いなくテレビの前のアニオタも同じ顔をしていたはずだ。
ハルヒの歌に関しても口パクが素晴らしかった。
デフォルメされたアニメのキャラクターにおいて口パクを詳しく描く場合、かなりうまくやらないと下品に見えてしまうのが常だ。それが今回は「ア、イ、ウ、エ、オ」の口の開き方をきちんと表現しながら、きちんとタイミングも合わせて、しかもキャラクターの顔を崩さずに描けていたことになる。


今回の京都アニメーションのつくった映像は「アニメにおける音楽演奏シーン」を覆すものとして評価される。
今までアニオタみんなが感じていた「限界」に、手法や構成といった小細工を無視して、真っ向から勝負、挑戦したものでもありanime史に残る演奏シーンだった。それにとどまらず、確実に世界のanimation史にも残るシーンだった。ディズニー映画をも超えた。スタッフの心意気が映像からガンガン伝わってきた。
スタッフの皆さん、素晴らしいものを見せていただきありがとうございました。


MUSASHI -GUN道-

ハルヒの後に見るとほっとするよ。いやー、伸び伸びできる。
岩のように動かないキャラクターと引き絵には清々しささえ感じた・・・が、これに30分割くのはきついな。
2倍速でやってくれたら結構おもしろいと思うけどね。


2クールやるんだって?監督、過労で倒れたりしないようにがんばってね。
けっこう応援してるよん。