ぱにぽにだっしゅ!

どの映像作品においてもそうだが、その物語の脚本・シナリオというものは非常に重要。
その出来によって、その作品が名作か否か判断されることになる。
見終わったあと、視聴者の心に一番大きなものを残せるのは普通「話の筋」なのでは。


しかし、このぱにぽにだっしゅ!においてその重要視されるべき「脚本・シナリオ」といったものは存在していただろうか?
それぞれの舞台・キャラクター設定や場面場面でのシナリオはしっかりとあったけれども、全体としての大きな話の流れというものは全くといっていいほど存在していなかった。
だから、実際僕もこのアニメの感想は毎週書きにくくてしょうがなかったんだなぁ。部分部分で印象に残っていることはあってもその前後の脈絡が無さ過ぎてうまく文字にならない…


そう考えると驚くべきことにこの作品は、脚本・シナリオで成立させるということを最初から放棄しそれ以外の部分に重点を置くことによって毎週30分成立させていたということになる。


具体的には、小ネタや他の作品へのオマージュ、萌え要素などの多すぎるぐらいの情報を様々に散りばめておくといった手法だったように思う。その上で視聴者はその中から自分のわかるものを取捨選択してニヤリとすることになるわけだ。
忘れてはならないのは「黒板ネタ」。学校が舞台でしかもベッキーは先生なんだから背景に黒板になるシーンは多くなるのは必然。その緑の空白部分には毎回なにかしらのネタが書かれていた・・・毎週ものすごい量のネタの数々。なんのネタかわからないものが多数あったなぁ・・・それに「恥ずかしいセリフ禁止中」って速過ぎるよ・・・
ベッキー斎藤千和のファッションにも毎週注目していた。キャラクターデザインが変えられ毎週ベッキーは非常にオシャレさんだった。これは作画の面から見ると非常に面倒なことだったはず。カードキャプターさくらを髣髴とさせた。


表現技法としては様々新しいものに挑戦しており、おもしろい結果を生み出していたものも多かった。ベホイミ門脇舞の場面転換キャッチなどは名物にもなってたし。
作品全体を通して原画のレベルも高く、動画も良かった。安定したクオリティーを全話確保していたといっていい。更に、オープニングに関しては全て高クオリティーであり、ひさびさに素晴らしい動画を見せてもらった・・・ベッキーの動画は神がかっていたなぁ。色使いもセンスよかったし。無駄にすごかったという印象も否めないほどだ。


声優に関しては言うことなし。出演者が多いのに、みなさん実力のある方ばかり。毎週安心して視聴できた。折笠富美子沢城みゆきがんばってたなぁ。



このようにぱにぽにだっしゅ!という作品は間違いなく「情報量オブ・ジ・イヤーですぅ」だった。画面の情報量の限界に挑んだ名作といっていいだろう。新房昭之監督全開でその挑戦含め毎週楽しく視聴させてもらった。おたくには絶対一度見てみて欲しい。
スタッフのみなさんありがとうございました!
最終話のスタッフの黒板ネタがほほえましくてよかったな。完全燃焼?2がもしあるとするなら、このまんまのスタッフではないだろうな。まーそもそも2なんて無いんだろうけど。


しかし、一般の方には全くおススメできないかも。話の筋がないので良くも悪くも「なんかすごい作品だった・・・」ということ以外何も残らない・・・そんな後腐れの無い作品。